指定難病医療費助成

2019年1月28日

指定難病助成制度について

POEMS症候群の医療費助成が受けられるかもしれません

難病には、原因がわからず、治療法も確立されていないような病気が多く、そのような病気にかかると、長期間療養をせざるを得なくなります。その間に発生する医療費の負担も大きいことは長年の問題でした。このことから、平成27年1月から、「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」が施行され、国の指定する難病に対する医療費の公費負担制度が始まりました。

もともと、厚生労働省の「特定疾患治療研究事業」における医療費助成制度として、56の特定疾患に対する公費助成はありましたが、難病法施行により、適用対象の範囲が拡大するとともに、公費負担制度も変更されています。これにより、POEMS症候群についても難病法に基づく医療費助成の対象となり、一定の条件に合致する方は、POEMS症候群の治療に関する医療費について、国の助成を受けられるようになりました。

医療費助成の内容は?

医療費助成を受けられると、「(1)自己負担割合が下がり」、「(2)自己負担上限月額が設定され」ます。これにより、難病に関する医療の経済的負担が下がります。また、高額な医療を長期間継続される場合は、負担はさらに軽くなります。

自己負担額が2割になります

健康保険組合加入者は一般的に窓口では3割負担となっていますが、医療費助成によって、難病に関する医療に関しては、2割負担となります(難病に直接かかわらない医療に関しては、3割負担のままです)。

もともと1割、2割負担だった方は、そのままの割合が適用されます。値上げにはなりません。

自己負担上限月額が決まります

患者さん世帯の所得(市区町村民税の所得割の課税額)に応じて、1か月単位の自己負担額が決まっています。自己負担額は、認定された難病に関する医療であれば、病院(外来、入院)や薬局など医療機関がまたがっても合算され、上限を超えた分は、窓口で支払いする必要がなくなり、都道府県や健康保険組合が負担することになります。高額療養費制度(レセプト単位の集計・後日還付される仕組みなど)に比べ、分かりやすく使いやすい制度になっています。

階層区分階層区分の基準(夫婦2人世帯の場合の 年収の目安)負担上限月額(患者負担割合:2割)
一般高額かつ長期(※)
人工呼吸器等装着者
生活保護000
低所得Ⅰ市町村民税非課税(世帯)本人年収
~80万円
2,5002,5001,000
低所得Ⅱ本人年収
80万円超
5,0005,000
一般所得Ⅰ市町村民税
課税以上7.1万円未満
(約160万円~約370万円)
10,0005,000
一般所得Ⅱ市町村民税7.1万円以上25.1万円未満(約370万円~約810万円)20,00010,000
上位所得市町村民税25.1万円以上(約810万円~)30,00020,000
入院時の食費全額自己負担
※「高額かつ長期」とは、月ごとの医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上ある者(例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円を超える月が年間6回以上)。

どのような患者が助成対象になる?

医療費助成の支給認定の対象となる方は、次の2つのいずれかに該当する方です(支給認定には申請が必要です)。

  1. 指定難病にり患し(POEMS症候群と診断され)、病状の程度が「医学的審査の基準(※)」を満たす人
    医学的審査の基準は指定難病ごとに基準があります。POEMS症候群の基準は、厚生労働省のサイトで公表されています。この基準に基づき、難病指定医が診断書(臨床調査個人票)を作成し、提出先の都道府県で審査されます。
  2. 軽症者特例に該当する人(以下の2つを両方満たす人)
    1. 指定難病にり患し(POEMS症候群と診断され)ているが、病状の程度が医学的審査の基準を満たさない人
    2. 「医療費を考慮する期間(※)」に、指定難病にかかる医療費総額が33,330円(3割負担の場合で自己負担額1万円)を超える月が3回以上ある人
      ※医療費を考慮する期間は、次のどちらか短いほうのことです。この期間の各月にかかった医療費を計算します。
      1. 申請した月から数えて12月前までの期間
      2. 指定難病が発症した時点(年月)から申請した月までの期間
軽症者特例の考え方
図1 軽症者特例の考え方
図1 軽症者特例の考え方

申請はどのように行うの?

医療費助成の申請・支給認定は、都道府県単位に行われています。各都道府県用の申請書一式を入手(窓口配布、ホームページからダウンロード等)し、指定された窓口に提出します。都道府県では、定期的に(月1回など)支給認定の審査が行われ、先述の基準を満たす場合は支給認定となります。認定されると医療受給者証が交付(送付)されます。

申請に必要な書類は?

申請に必要な書類には一般に以下のようなものがあります。申請内容によって提出物が変わったり、都道府県によって違う場合も考えられますので、実際の申請に際しては、各自治体の受付窓口にお尋ねください。

  1. 指定難病の医療給付に係る支給認定申請書
  2. 難病指定医が作成した臨床調査個人票(診断書)
  3. 高額療養費に係る所得区分照会に関する同意書
  4. 世帯員全員の記載がある住民票
  5. 自己負担上限月額の算定に必要な書類(生活保護受給者・境界層該当者は提出不要)(注)加入している健康保険により提出物が変わりますが、健康保険証のコピーや課税状況がわかる書類です。
  6.  (該当者のみ)軽症者特例に該当する場合は、医療費申告書と領収書のコピー
  7. (該当者のみ)人工呼吸器等装着者として申請する場合は、「2.臨床調査個人票」の該当欄への記載
  8. (該当者のみ)生活保護受給者の場合:生活保護受給証明書。境界層該当者の場合、福祉事務所長が発行した境界層該当証明書(指定難病の患者に係る特定医療費)
  9. (該当者のみ)同じ健康保険組合に加入されている方が、指定難病または小児慢性特定疾病の受給者の場合は、その方の医療費受給者証のコピー
  10. (該当者のみ)患者が介護保険サービスを受ける場合は、介護保険被保険者証のコピー

医療費の助成は申請日時点から開始です(申請前の医療費は対象外です)

医療費の助成対象になると、申請してから(受理されてから)医療受給者証の交付までの間の医療費については、還付を受けることができます。医療費の領収書が必要ですので、必ず保管するようにしてください(確定申告などでも使用する場合もありますので、領収書は基本的に保管するようにしましょう)。

注意する点は、申請日より前にさかのぼっての助成は受けられないことです。この制度は、申請日が助成開始日となり、それより前の医療費は対象外となっています。このため、POEMS症候群と診断され、治療が開始できる段階になりましたら、医療費助成についても、なるべく早く申請を検討することをお勧めします。

図2 医療費助成の申請日と支給対象期間の関係
図2 医療費助成の申請日と支給対象期間の関係

とはいうものの、POEMS症候群と診断される時期が、身体的にも経済的にも厳しい時期かと思われます。この時期の後に申請すると、治療開始当初の医療費が還付されないことになります。また、軽症者特例による申請も、発症後数か月間の医療費負担の実績が必要で、どうしてもそれ以降の申請となってしまいます。なぜ申請日が基準なのか?という大きな疑問もあります。これについては、難病情報センターのQ&Aによると、「都道府県においては、申請する意思を確認できるのは申請書が都道府県(保健所等)に提出された時点となり、申請日以前にかかった医療については、いつからの診療が当該疾患に関する医療であるかの判断を医学的かつ個別に行うことが不可能であるため、申請日からの医療に対して医療費助成が行われています。」と説明されています。

難病治療にかかった医療費の助成という趣旨からは、一定の線引きが大切かと思いますが、例えば、難病指定医による診断日を基準にするなど、患者の負担を減らしつつ、正確な医療の把握が可能な考え方が他にできないか、よりよい制度になるよう提言していきたいと考えています。